先日、静岡県の富士山でバス事故があり、1名の方が亡くなりました。
原因は究明中らしいですが、元トラックドライバーとしてはフェード現象かなと思われます。
トラックもバスもディーゼルエンジンですので、排気ブレーキが付いています。
この排気ブレーキはマフラーを塞いでエンジンに負荷を掛けることで補助ブレーキとなります。
効き具合はエンジンの回転が多いほど効きますので低速ギヤほど効果があり、速度はメーカーによりますが昔のV8エンジンなら20キロくらい落とせます。
ブレーキシステムは多分ドラム式かなと想像します。乗用車はディスク式が殆どですね。
ドラムと呼ばれるタイヤを取り付ける大きな丸い鉄のケースがあり、その中にブレーキシューと言うものが車体に固定されており、ブレーキを踏むとエアーの力で両サイドに開いてドラムと摩擦してブレーキが掛かります。
タイヤを取り付けた状態のドラム

大型車の一昔前のブレーキシュー、形状は現在のほぼ同じです。

4トン車のブレーキシュー、上に付いているホイルシリンダーをブレーキオイルで作動させます。大型は現在はエアー方式です。
戻りは手前のスプリングで戻ります。

フットブレーキを使いすぎると熱でブレーキが利かなくなります。これをフェード現象と呼びます。
今から50年程前には、よく箱根新道を通りました。総重量30トンと過積載で走ったこともあります。
こんな時は、上りも下りもエンジンブレーキと排気ブレーキの併用で20キロ位で走りました。
所々に緊急避難所があり、こんな所には突っ込みたくないですからね。
それでも下り終わるとドラムはアチチです。
緊急待避所
静岡との境・国道1号箱根新道、新潟との境・国道17号三国峠、やはり観光バス事故で有名になった長野との境・国道18号碓氷峠など重い荷物を載せて走ったものです。真冬の三国峠では事故があり、雪の中、6時間も通行止めの中にいたこともあります。
下り坂は3速4速でのエンジンブレーキに排気ブレーキ併用で下り、フットブレーキ使用は極力抑えていました。
現在は高速道が発達し、こんな峠道運行も少なくなりました。峠道は経験がものを言います。
車の性能も向上しましたが、使いすぎはやはり同じですね。
まあ、原因がフェード現象でなく、ブレーキ故障ならドライバーも救われるのかなと思います。